第72章 悋気
青峰さんは、彼のプレースタイル同様に、全く行動が読めない。
さつきちゃんとは、どうなったのかな……。
さつきちゃん、自分の恋愛になると鈍感だから。
青峰さんに、聞いてもいいのかな。
はぐらかされちゃうかな。
でも、もし2人が上手く想いを伝えられなくてすれ違っちゃってるだけなら、少しでもお手伝い、出来ないかな。
……お節介、かな。
「神崎」
青峰さんらしくない、少し潜めたような声。
誰にも、聞かれたくない。
そんな……声だ。
「はい」
「……いや、なんでもねー」
「そう……ですか?」
……。
お節介、かな……。
だよね……。
でも……
「……みわちゃん、お昼行こう!」
コートの中で紫原さんにお茶を渡していたさつきちゃんが、こちらに大きく手を振っている。
「う、うん、行こう!」
……やっぱり、軽々しく首を突っ込む事じゃないかな。
慌てて荷物を手にし、さつきちゃんの元へ向かった。
年末まで営業している飲食店は殆どなく、仕方なく駅前にあるファミレスに入る事にした。
座席は、赤司さんが突然"公平にじゃんけんで決めよう"と言ったので、なんだか微妙な席配置になってしまった。
それにしても、赤司さんはどうしてあんなに楽しそうに言ってたんだろう?
公平に、って、何が公平なんだろ……?
私の席は、右にさつきちゃん、左に青峰さん、前は黒子くん。
右斜め前には緑間さん、
左斜め前には赤司さんが座っている。
涼太は向かい側の一番左端…一番遠い席だ。
でも、いつも一緒にいるんだから、いいよね。
普段話があまりできないような人達とお話できるのは貴重。
でも、この面子でポンポンと話題が飛び出すわけもなく……
なんとなく、一問一答のように一言二言話すだけで、どうにも話が盛り上がらない。
「そう言えば、皆は卒業後、どうするんスか?」
そんな中、涼太がそう口火を切った。