• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第71章 悋気


「んで黄瀬、オマエどーすんの? オレは行くけど、オマエ行くわけ?」

「行くっスよ! モチロンっしょ! 2月になったら学校も自由登校になるし」

「あーそうか、ウチも卒業式までは自由登校だわ」

2人の会話を聞いて、ようやく気付く。
そうか、自由登校。

今まで通りに学校生活を送れると思っていたけど、もう卒業……。

特別な3年間だったな。
友達も、……好きなひとも出来て。

毎日が、楽しくて。



「ねえねえ、来月卒業旅行代わりに、皆で温泉でも行かない?」

さつきちゃんが右手を高々と上げてそう言った。

……卒業旅行?

「さつきちゃん、卒業旅行って、大学生とかが卒業の時に行くやつじゃないの?」

「そうなんだけど、大学に行ったらもっと皆バラバラになっちゃうもん。安いところでいいからさ、皆でいこうよ!」

温泉……
た、楽しそう……。

「みわちゃん、行くでしょ?」

「うん、行きたいな」

「決まり! 行こう行こう!」


「オレはパス〜。来月じゃこっち帰ってくる予定ないし」

「俺も少々厳しいかな。また次の機会に」

紫原さんも赤司さんも、そのためだけに東京に戻ってくるというのはなかなか難しそう。

「ムッ君と赤司君は無理かあ……。じゃあ、テツ君は? 行くよね?」

「すみません、ボクも来月は立て込んでいまして……」

皆、卒業とはいえ、すぐに新しい生活が待っている。
予定はてんこ盛りのようだ。

「えー! じゃあどうしようかなあ……皆が来れる日にちってあるかなあ」

今こうして集まれているのは、年末だし、ウィンターカップがあったからだ。

こうやって、全員が集まれる機会は、そうそうないだろう……。



「桃井」

打つ手なく静まり返った場に、静かに優しく響く声。

「今晩から行ったらどうだ?」

赤司さんは、湛えた微笑みを崩さないまま、そう問いかけた。



/ 2456ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp