第71章 笑顔
「涼太……明るいの、恥ずかし……」
明るい場所でみわを抱くのは初めてではないけれど、顔を赤く染めた彼女の願いを聞き入れ、部屋の電気を消した。
2人を照らすのは、窓から差し込んでくる月明かりだけだ。
暗闇の中で、月の光を浴びてぼんやりと浮かび上がる白い裸体の美しさに、息を呑んだ。
「……なんか、電気消した方がすげぇエロいんスけど……いいの……?」
「今日は……どうして意地悪ばっかり言うの」
慌てて身体を隠そうとした腕を捕まえて、首筋から下半身に向けて、所有の印を刻んでいく。
「だって、キレイで……可愛くてさ」
「んっ……」
強く吸い付くたびに浮く腰が可愛くて、白い肌に次々とついていく紅い印を見ると……どこかで見たような既視感に囚われる。
ああ、去年の冬にみわのお祖母さんの家の居間にかかっていたカレンダーだ。
雪の中に咲いた椿。
白の中の紅が際立っていて、美しかった。
目の前のみわの方が、何倍も美しいけどね。
窓際のテーブルでは、優勝トロフィーも月明かりを受けて輝いているように見える。
それが酷く神聖なものに見えて、そんな場所でこんな事をしているという背徳感が、余計に煮え滾った欲情を煽るのだから、救いようがない。
「ね、みわ……オレたち、優勝したんスよ」
「んっ、ぁ、……涼太、おつかれさま……」
会場で流してくれた涙とは違う種類の涙に濡れた瞳が、優しく微笑んだ。
既に秘部は誤魔化しようのない程に蕩け、いつでもオレを受け入れられる態勢になっている。
ここ最近はひたすら大会に向けて全力投球していたせいで、彼女の肌を味わう余裕がなかった。
オレを求めてくれるこの身体は、なんて甘くて魅惑的なんだろう。
「みわ」
「んっ……ん」
耳もとで名前を呼ぶと、それだけでも感じるのか、身を捩って掠れた声で喘ぐ。
身体の力が抜けたのを確認すると、膝裏を掴んで、細く長い足を大きく拡げた。
「あっ、やあ……!」
オレをずっと支え続けてくれるみわと、ひとつになりたい。
ずっと、ずっと離したくない。