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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第71章 笑顔


「……出ていーんスか?」

するっと指が離れる。

身体を支配していた疼きが、湿った空間に溶けるように霧散していくのを感じた。

「うん、出て、出て!
さつきちゃん、連絡つかなかったら困っちゃうよ」

涼太も、少し冷静さを欠いているだけだ。

落ち着けば、きっと大丈夫……。

涼太は、ウィンドブレーカーを手に取り、ポケットを探っている。

急ぎ身体を起こして、涼太の隣に座った。

「……ホントだ、桃っちか」

「赤司さんがさっき言ってたやつだよ」

「……ふうん」

大して興味がないのか、今の行為を邪魔されたのが不愉快だったのか、涼太は少し拗ねてしまっているようだ。

ごめんね。
だって、こんなところでいきなり……。

でも、クールダウンできて良かった。
さつきちゃん、ありがとう……!


「……モシモシ?」

『もしもし? きーちゃん?』

静かな室内のおかげで、スピーカーモードにしなくても、さつきちゃんの声がここまで聞こえる。

「うん、なんスか?」

『優勝おめでとう!! あ、ごめんね?
なんか、お邪魔だった?』

彼の少しイラついたような口調に、さつきちゃんも気付いたようだ。

涼太がチラリとこちらに目をやった。

全く問題ないよ、怒らないで、の意味を込めて首を思いっ切り左右に振る。

「……別に、なんもないっスよ。ありがと。どしたの?」


『あ、あのね、赤司くんから聞いたかもしれないんだけど』

さつきちゃんの声に集中しようと、目を閉じて耳を傾けていたら……ジャージのズボンに何かが入って来て、反射的に身を反らした。

「!?」

目を開くと、いつの間にか私はまた、涼太の両腕に包まれるようにして捕まっていて。

で、電話してるはずなのに、どうして?

「ああ、大晦日だっけ?」

涼太は、スマートフォンを肩と耳で挟み、通話を続けている。

な、なな、なななんて器用な事するの……!

「りょう……」

『そう! 大晦日なんだけどね』

抗議しようとした声は、さつきちゃんの嬉しそうな言葉に遮られて。

涼太の指が、下着の中に侵入してくるのを感じる。


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