第71章 笑顔
「ん、ぅ……んん」
どうして、キスってこんなに気持ちいいんだろう。
重なり合う吐息が熱くて、これだけで室内の温度を上げてしまいそう。
「ッ……ん」
無意識に揺れてしまう腰をなんとか止めたくて、咄嗟に涼太のユニフォームの腰部分を掴んでしまう。
キスの合間に見えた瞳は、試合中のギラギラした輝きとは異なる、艶っぽく濡れたものに変わっていて。
なんでそんなに格好良いの……ずるい。
「なんか……その掴み方、おねだりされてるみたいっスね……」
「え……」
涼太の指が、背中をなぞる。
彼よりも重量のない身体は、力強い腕に抱え込まれて、容易に反転させられてしまう。
ジャージの背中部分をするりと捲られ、繋がりをといた唇が肌を滑った。
「やっ、あ、っ!」
「みわ、背中弱いんスよね……かわい」
「ああッ……」
抑えようとしても、びくびくと跳ねるように反応してしまうのが抑えられない。
空いた腕でゆるゆると胸の頂を抓るように弄られて、身体の熱がどんどん上がっていく。
「あっ……ど、どして、こんなの……ッ」
「オレ、頑張ったから……ご褒美、ちょうだい?」
まるでゆっくりと味わうように動く唇に、指に……ここが何処だかを忘れてひたすらに声を上げてしまいそう……!
「ま、まって、やっぱり待って、ん、あ」
「……待てないよ、みわ」
骨張った大きな手が、太腿を撫でた。
「ッ!」
「みわ、声……我慢しないで」
内腿を探るように、付け根に向けて上がっていく指に神経が集中してしまう。
「はぁ、はぁ……ッ……!」
溶けかけている脳に、軽快な電子音が届いた。
……携帯の、着信音?
音のする方に目をやると、涼太が脱ぎ捨てたウィンドブレーカーから聞こえてくる。
「涼太、電話」
きっと、さつきちゃんだ!
さっき赤司さんが、後で連絡させるって言っていたし……!
「んー、あとでいーっスよ……」
涼太の指はおかまいなしに下着をなぞるようにして触れてくる。
「だっ、だめ! 出て! 今出て!!
さつきちゃんからの大晦日の話だから!!」
これをきっかけに、冷静になって貰うしかない……!