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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第17章 噂 ー後編ー


「けほっ……ううん、急いで飲んだらドジってむせただけ。黄瀬くん、休憩終わっちゃうよ?」

「オレはストレッチメインだから、まだ大丈夫っスよ」

「だめだよそんな事言って……どうしたの?」

「それはコッチのセリフっスよ。みわっち、さっきから様子が変だからどうしたのかなって」

周りにまで気づかれるくらいだったのか。
マネージャー失格だ。

「ちょっと暑くて、ボーッとしちゃって。もう大丈夫」

「……ねえ、なんかあった?」

「ないよ、本当に。合宿のこととか考えてて、集中できてなかったみたい。反省」

「……じゃあ少しだけ充電させて?」

「え」

私の唇に、黄瀬くんの唇が重なった。

目を瞑る余裕もなかった。
黄瀬くんと至近距離でバッチリ目が合った。

頭の中に、あの人たちの声が蘇る。

「いやっ……!」

思わず黄瀬くんを突き飛ばしていた。

「みわっち……?」

「あ、ご、ごめんなさい……! 先に戻るね……!」

黄瀬くんの顔も見ず、走り出した。

やだやだ、何やってんの。
自分からキスを拒んだ。

どうしよう。心が乱れている。
足元からどんどん沼に嵌っていくような感覚。
抜け出せない。

どうしたらいいの……!


結局その後も集中力を欠いたまま、練習は終了してしまった。
今は、レギュラーメンバーと2軍の一部が自主練習に励んでいる。

私も様々な備品などの片付けをしなきゃ。

「神崎、それ上の棚だろ。やるよ」

小堀先輩だ。黄瀬くんよりも背が高い。

「あ、ありがとうございます」

「……誰でも、調子いい時と悪い時があるよ」

昼間の事だ。

「……たるんでました。申し訳ありません。……小堀先輩、お聞きしてもいいですか?」

「ん? 俺に分かることなら?」

「バスケをしていて、気持ちが乱れて……自分のやるべき事も見えなくなって……そういう時は、どうやって乗り切るのですか?」

「う〜ん、難しい問題だね。よくある事だけどバスケは団体競技だからね。仲間を信頼し、自分のやってきたことを信じてプレイする、っていうのは優等生な回答かな?」

「……そう……ですよね……」

「でもそれ以前に、自分の中で乗り越えなければならない問題が分かっているのなら、それを解決するのが先決だよ」

小堀先輩は、優しい瞳でそう言った。
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