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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第71章 笑顔


表彰式が終わり、そのまま閉会式の流れになった。

閉会式が終わっても、まだ実感がない。
足元がトランポリンになってしまったかのように、ふらふらと安定しない。

目の前では、選手たちが雑誌や新聞の取材を受けている。

「神崎」

嬉しそうに口元を緩めている監督が、手招きしている。

「は……っ、はい」

それが私を呼んでいる事に気付き、慌てて駆け寄った。

「黄瀬のインタビューが終わったら、必ずここに来るように言っておいてくれ」

「はい、承知致しました」

なんだろう?
解散前に集合はするのに……
涼太個人に用事ということだろうか?





体育館内には、うちだけじゃなく他の学校の選手たちもインタビューを受けている。

その中から、赤い髪の彼……赤司さんがこちらに向かってくる。

「神崎さん、優勝おめでとう」

「あ……りがとうございます」

以前、赤司さんには失礼な態度を取ってしまった。

会場でお会いした時に非礼はお詫びしたけど……それでもやっぱりなんだか気まずくて。

「黄瀬に伝えておいてくれないか、大晦日の予定を空けておいてくれと」

「大晦日……ですか?」

「ああ、詳しい事はまた桃井から連絡させるよ」

さっきから皆……なんなんだろう??



赤司さんと別れると、涼太が雑誌のインタビューから解放されたところだった。

「あ、みわ!」

私を見つけると、パッと花開いたような笑顔でこちらに向かってくる。

もう、激戦の疲れなど感じさせないような足運び。

……それこそ、アドレナリンのお陰だろうか。

後からドッと疲れが出てしまいそうで、心配。

「涼太、監督が呼んでいたから、ロッカールームに戻る前に行って。
あと、赤司さんが大晦日の予定を空けておいてくれって」

「ん? 大晦日?」

「うん。詳しい事はさつきちゃんから連絡させるって言ってたけど……」

「ん、了解。
サンキュ、じゃあカントクんトコ行ってくるっスね」

涼太の背中を見送ると、監督の隣に背の高い男性が立っているのを見かけた。

あの人が涼太に何か用なのかな……?



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