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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第71章 笑顔



"やっぱりオレ、外からのシュートの確率が低いんスよね。
緑間っちまでとは言わなくても、ここぞという時に自信持って決められるくらいにしたいんス"

そう言って、毎日練習の後のシューティングメニューに、3ポイントシュートの項目を追加していた。

「黄瀬が3ポイントシュート決めなくても、そんなのはシューターにまかせりゃいいだろ」

「いやいや、違うんスよ。
いざって時にさ……もう身体も言うこときかなくなって、それでもこの1本で勝敗が決まるって時には……練習量がモノを言うと思うんス」

チームメイトの疑問にもそう言って、黙々とシュート練習を続けた。

そのシュートが、試合を決めた。




"泣いて、泣いて、
これでもかってくらい泣いて……
最後に、笑えばいいんスよ"


あの時の涼太の声が、頭の中に響く。

ぼやけた視界の中で、見える。
あぁ、だいすきなひとたちの、笑顔だ。

皆が、こっちを見てる。
おめでとうって、言わなきゃ。


「みんな……おめでとう……」

「なぁんでヒトゴトなんスか?
みわ、オレたちが勝ったんスよ!」

明るいいつもの声が、真っ直ぐ耳に届く。

「神崎!」

「神崎先輩! こっちです!」

3年間、一緒に頑張ってきた仲間が。
ついてきてくれた後輩が。

皆が、抱きしめてくれた。
ありがとう、って。
お疲れ様、って。

私、このチームに居ることができて、良かった。

こんなに、幸せな瞬間に立ち会えるなんて。

「……ありがとう……」

涙が、止まらない。





ウィンターカップの今大会成績……

優勝は、海常。準優勝、誠凛。
そして第3位には、秀徳を退けた桐皇学園。

そして、今大会の男子ベストファイブの発表。

海常・3年 黄瀬涼太、1年 笠松幸弘
誠凛・3年 火神大我
桐皇・3年 青峰大輝
秀徳・3年 高尾和成



キセキの世代が中心になった3年間が、終わった。


各々、希望や葛藤を胸に、表彰台へ上がる。


涼太は、泣いていた。
泣いて、笑っていた。

表彰台の一番高いところ……
やっと、辿り着けたんだね、涼太。

怪我に苦しめられて。
エースの重圧と、主将の責任を背負って。

今、優勝トロフィーを受け取る。
最高に、格好良いよ。


私の……だいすきな、ひと。




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