第71章 笑顔
僅かなインターバルを、少しでも皆の体力回復に充てる。
そして、第4Q。
泣いても笑っても、これが最後のピリオドだ。
あれほどの熱量の力同士のぶつかり合い。
どちらのチームも、消耗しきっているのは歴然。
それなのに、どちらも一歩も引かない。
コート内の熱気は、狂気と表現しても遜色ないものだった。
しかし、そんな集中力も、永遠に持続は出来ない。
「火神君!」
開始8分、火神さんが、黒子くんからのパスをファンブル(※)するという、普段では考えられないようなミス。
※ファンブル……1度手にしたボールを取り落としてしまうこと。
そのミスを涼太が見逃すはずもなく、奪ったボールをゴールへ沈めた。
残り2分。
スコアは170対170。
涼太も火神さんもゾーンが解け、限界が来ていた。
しかしその後の2分間、これは本当にバスケの試合かと思ってしまうほど、どちらのチームにも点が入らない展開が続く。
決死のディフェンス。
一心不乱のオフェンス。
それでも、どちらもゴールは決まらない。
あと10秒。
あと……5秒。
第4Q終了のブザーが鳴る。
スコアは不動、170対170のまま。
試合は、オーバータイム……延長戦に突入した。