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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第71章 笑顔




「……ボク達は負けませんよ」

彼特有の淡い微笑みは、夕陽の光を受けて更に神秘的な色を湛えている。

「またウチが追う立場……
今度こそ、オレたちが勝つっス」

その淡くも強く印象に残る輝きに負けぬよう、気迫を込めて返した。




「黄瀬君は、いつも輝いていますね」

「……へ?」

黒子っちがあまりに突然ヘンな事を言うので、少し前までのピリピリした緊張感を根こそぎ奪われてしまう。

また、黒子っちのペースだ。

「ボクは……少し、羨ましかったんです、キミが」

「オレが……っスか?」

黒子っちが?
オレを?
なんで?

「はい。キミのように真っ直ぐで、何も恐れずに向かっていける強さが、眩しいほどの輝きが、羨ましかった」

黒子っちが、オレのことをそんな風に思っていたって?

黒子っちこそ、いつも実直で、熱くて、人を変えてしまう魅力を持っている。

輝きっていうけど、黒子っちだって、輝いている。

控えめだけど、人を先導出来るほどの真っ直ぐな光。

"影"である彼は、同時に"光"でもあるんだと思う。

「オレの方こそ……黒子っちみたいに、って何度も思ったことあるっスよ」

黒子っちに妬いて、何度もみわにみっともない所を見せた。

それは、オレの中に黒子っちに対する劣等感があるからだ。

自覚はなかったけれど、そういうことなんだと、今更ながら思う。



「黄瀬君は、やはりボクにとって特別な存在でした。みわさんの事も、黄瀬君の恋人だから……と抑制していた部分があるのは否定出来ません」

……黒子っちが、こうして何かを覚悟したように言ってくるのは、何度目だろう。

オレにとっても、黒子っちは特別。

友人であり、昔のチームメイトであり、オレを変えてくれた人であり、ライバルだ。

「……この試合に勝ったらみわを寄越せ、とか言わないっスよね?」

「言いませんよ。奪う時は、ちゃんと正々堂々と正面から頂きますので」

軽く笑い飛ばしたように見えても、その眼差しの真剣さはそのままだ。

「……黒子っち、何の用でここまで呼んだんスか?」




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