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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第71章 笑顔


我がクラスの決勝戦での作戦は

"打たせて取る"

というものだった。

つまりそれは、相手を誘導して、攻めてくるコースを制限するという高度な作戦。

……準決勝までひたすらベンチを温め続けた私に、白羽の矢が立ってしまった。

「みわが出れば、スパイクはみわに集まる」

バレー部3人の絶大な信頼により、まさかの決勝戦で初出場となった私。

……スパイクやサーブをはじめとした、ありとあらゆるボールが私に集まります。

向こうのチームの作戦は"守備の穴を突け"らしいので(聞こえた)、当然と言えば当然で。

作戦通り……とチームメイトたちはほくそ笑んでいるけれど、いくらバレー部とはいえ、私に集まったボールを、全部が全部取れるわけではもちろんない。

ブロックの穴を突いてきたボールや、レシーブなど、私だってプレイヤーとして参加している以上、精一杯ボールに向かって頑張らないと。

どれだけ教わっても、腕に当たったボールはあさっての方向に飛んでいく。

そんな中、ボールが破裂するのではないかと思わせるほどの音を立てて、バレー部エースが打ったスパイクがこちらに向かってきた。

怖いと思う暇もなく私の腕に当たったボールは、勢いを殺すことなく私のアゴを直撃した。

「神崎!」

「みわちゃん!!」

痛みもなく突然揺れる視界に、周りの悲鳴。

辛うじて気絶するような事にはならなかったけど、大事を取って私はベンチに下がった。

何故かそれをきっかけにチームメイトが奮起し、我がクラスは優勝を勝ち取った訳なんだけど……。

結局試合では何にも活躍出来ず、微妙な気持ちだけが残ってしまった。

そして、こうして涼太にも笑われ……自分の情けない運動神経にうなだれた。





「あ〜……可愛かった……でももう、卒業まで大きな学校行事もないっスね」


……卒業。


そっか……

なんだか、あっという間だったな……。


不思議……。


こうして並んで歩いているのが当たり前じゃなくなるなんて……。


来年の今頃は、何をしているんだろう。





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