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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第71章 笑顔


涼太は、太陽すらも霞むほどの満面の笑みでこちらに向かってきた。

まるで光の屈折率まで操作してしまっているように、……キラキラ、キラキラ。

飛び散る汗まで絵になるって、この人は本当はどこの世界の人なんだろうと思う。

「黄瀬、シャラシャラウザいわ」

「あきサン、イキナリっスか!? 横暴!」

「黄瀬君、カッコ良いよ〜」

「おおキオサンも、サンキュ。
みわ、見てくれてたっスか!?」

「見てたよ。お疲れ様!」

……うう、私も格好良かったよ、って一言言いたいのに。




「午後はみわのバレー、ちゃんと応援に行くっスよ!」

……う。

今度は秋晴れのような清々しいその表情に、絶対にこないで下さいとは言えず、午後に行われた女子バレーボールでは、涼太の前で大変恥ずかしい姿を惜しみなく披露した。





「ぷっ……くく……」

帰り道。

涼太は、逞しくも柔らかい身体をくの字に曲げて、ひたすらにぷるぷる震わせている。

ひどい。

「りょ、涼太、まだ笑ってるの!?
意地悪!」

「だって……どうやったら、レシーブしたボールがアゴに……」

もう爆笑とかいうレベルじゃない。

軽く呼吸困難を起こしかけ、喘ぐように息をする涼太。

ほんっとに、楽しそう。




……女子バレー部の部員が3人もいる我がクラスは、ずるいけれど順当に勝ちあがり、決勝戦を迎えた。

決勝戦の相手は、バレー部のエーススパイカーがいるクラスだ。

……大体こうなってしまうものなんだって。

体育程度でしかバレーボールをした事がないメンツの中で、バレー部員は、言わばリーサルウェポンみたいなもの。

それを平気で覆す、涼太が特別なの!!

体育館には、既に出番のなくなった他のクラスの生徒や、応援席に座って応援してくれている涼太を見に来た女子の群れ。

「みわ! 頑張れー!」

涼太は、毎度毎度そんな声をかけてくれるもんだから、まるで針のむしろ。

周囲から感じる攻撃的な目線が肌に刺さる。

そして、更に私に集まるボール。

……嫌な予感しかしない。


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