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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第71章 笑顔


"ごめん、今ちょっと
オレに話があるってコが来てて。

少しの間、行ってくるから
昇降口で待っててくれる?

それか、終わったら部室まで
迎えに行くっスよ!(*^o^*)"

あの3人組が去ってから間も無く、私のスマートフォンが振動し、涼太から届いたメッセージ。

私は既に、昇降口まで来ていた。

思わず隠れた靴箱の向こう側には、先ほどの彼女と涼太がいる。

「ごめんね、今メッセージ送ったから、もうオッケー。お待たせ」

「あっ、ま、待ち合わせ、とかですか!?
時間、大丈夫なのでしょうか!?」

「ん、ちゃんと説明したからダイジョーブ。
で、オレに用ってなんスか?」

涼太の声が優しい。
よそ行きではあるけど、耳を甘く擽る声。

相手の緊張感を解こうとする、彼の心遣いだ。

「あ、あの、あの、ちょっとこちらまで来て頂けますか」

女の子は涼太を誘導していく。
こっそり、私もついて行ってしまった。

着いたのは、総合体育館の裏。

3人組のうちの残り2人と鉢合わせにならないよう、茂みに隠れた。

……何、やってんだろ。




「あ、あの、黄瀬、先輩!」

「ハイ」

ここまでくれば、涼太だって分かってる。
いや、彼の事だから、最初に声を掛けられた時から勘付いているだろう。

「わたし、ずっと黄瀬先輩の事が、好きでした」

「そうなんスね、ありがとう」

早く断ってと、私の中の黒く醜いこころが囁く。

「どこにいても、先輩が気になって、気になって。
バスケの試合も、全部観に行ってます!」

「マジっスか? いつも応援アリガト」

「先輩は、最高です」

「改まって言われると、なんか照れるっスね」


「黄瀬先輩……わたしと、付き合って下さい」


どくん。

彼女がそう言うのは分かっていた筈なのに、その言葉で胸がザワザワとざわつく。

断って。
断って。
スッパリ諦められるように。

そんな風に懇願している自分がいた。




最低、だ。




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