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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第71章 笑顔


「ぎゃああああああ!!」
「きゃーーーーーー!!」
「うわぁぁぁんママ〜!」
「わっ、ビックリした!」
「何これちょーキモい!」

見るなり走り出して逃げる人、
相方にしがみついて固まる人、
母親の隣で泣き出す子ども、
驚きつつもじっくり見る人、
ぱすぱすと着ぐるみを叩く人。

同じオバケを見ても、これだけ反応が違うんだから面白い。

蒸し暑い着ぐるみタイム、オレたちはそれなりに満喫していた。

「あ、そろそろ交代の時間っスね」

布が厚いお陰で、小声で話していれば外に音は漏れないようだ。

「1時間ってあっという間だね」

「確かに、全然時間気になんなかったっスわ」

なんとか動けるだけ動こうというみわの発案で、上半身だけうにょうにょと動いたのが絶妙に気持ち悪かったようだ。

しかし、しっかりした素材の布は熱を通さない。

放っておくと、汗だくだ。

「暑いんスよ、もー」

「ホント、あつ……」

みわも、タオルハンカチで額を拭っている。

踏み台があるから、今2人の身長は殆ど同じだ。

「立っててこんなに目線が近いのは、新鮮っスね」

「そうだね。涼太って、こんな高い所から世の中を見てるんだなぁ」

キョロキョロと上やら下やらを見渡しているみわ。

……中学入学時には170㎝ちょっとしかなかった身長も、気付けば190㎝を超えている。

ハタチくらいまでにもう少し伸びないかな、と淡い期待を抱いているんスけど……。

「みわも、高校入って随分身長が伸びたっスよね」

「う……言わないで……」

みわはガックリとうなだれた。
女の子はやはり小さい方が可愛い、と思っているらしい。

「言ったっしょ、背が高い方がキスしやすいって」

「そっ、それは……」

それは嬉しいけど、と口の中でもごもご言うみわの顎を取って、優しく唇を重ねた。

「……もう」

皆から見えない所で、隠れてキス。

少し困ったようにしているみわと、額を合わせて笑い合った。

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