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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第71章 笑顔


……正直、迷ったこともあった。

このタイミングで、海外に挑戦するべきなんじゃないかって。


……でも、やっぱり……


笠松センパイや小堀センパイと、もう一度……戦いたいんだ。

そう素直に思えたから、今はそれでいいんだと思う。

……進学したらみわとは、かなり距離が出来てしまう。

オレは神奈川の学校で、みわは東京だから、一見隣の県だし近いじゃないか……とも思うが、オレの学校もみわの学校も、キャンパスがあるのは都市部から離れた田舎だ。

お互いに逢いに行くのにどの程度時間がかかるか、考えたくもない。

ヘタしたら、新幹線で大阪に行く方が近いかもしれない。

これは……プチ遠距離恋愛を覚悟っスかね。

でも、みわは少し安心したような表情だった。

やはり、オレが海外に行くと言い出すと思っていたんだろうか。

きっと1人で不安で悩んでいたんだろうなと思うと、申し訳ない気持ちになった。




「みわ、学祭、当日は一緒に回ろう。
球技大会、出番じゃない時は一緒に居よう」

3年でまた同じクラスになれて、毎日教室でもみわの姿が見れて嬉しいけど、3年はもう卒業も間近で、大きなイベントもない。

これからの毎日を、全部全部大切にして、みわと過ごすんだ。

こうやって一緒の学校に通えるのは、これが最後だから……。

「……うん!」

みわは、ふにゃりと笑った。



「うちのクラスの出し物、オバケ屋敷だから当日ヒマでいいっスよね」

「そうだね。でも、涼太はオバケ役やらなくていいの?」

「うん、バレー部のヤツに任せた」

「背が高いから、突然出て来たらビックリするよね」

「みわ、球技大会は何に出るんスか?」

「私? バレーボールだよ」

「……気を、つけてね」

「ええッ、その目、なんか酷い!
確かに私はちょっと運動が苦手だけど……」

「ちょっと、ね……」

他愛のない話をして、笑う。

こんな時間を過ごせるのも、なかなかなくなってしまうんだろう。

全部、大事な思い出だ。
大切にしたい。



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