第70章 特別
海常高校、男子寮。
もう、何度ここに足を踏み入れただろう。
今日は、涼しげに鳴る下駄の音を殺しながら、忍び込んだ。
涼太の部屋に入るなり、また甘いキスが降ってきて……。
皺にならないよう、早々に浴衣を脱いで裸になった私たちは、抱き合いながらベッドへ縺れ込んだ。
「ん、ん……」
涼太が、キスをしながらまた……
右耳の耳朶を指で弄っている。
なんだかジワジワと気持ち良くて、もどかしい。
「ん……涼太、さっきから、なに……?」
「いや、なんか……オレがここに穴開けるんだって思ったらさ……エロいなぁって。なんか、特別な感じ」
「……何言ってるの? 涼太」
また不思議な事を言い出した……と思ったら、右手の指が太腿をなぞり出した。
「ひ、あ……っ」
「ここの穴も、オレ専用だけど……」
そのまま、彼の指は太腿の間にある、私の中心への入り口を撫でる。
ぬるりとしたのが、自分でも分かってしまう。
「あーあ……こんなに濡らして……」
「や、んっ」
「あ、カワイー声……そそる」
「ちょっと、何して……あ」
「も……オレ、我慢したんスよ?
どんだけ車ん中で押し倒そうと思ったか……」
全然、我慢出来てなかったけど……
あんな顔して……。
「っ、あ」
「みわが誘うから、いけないんスよ……」
「ぃあ……っ」
つぷりと抵抗なく挿入された指に、全身がぶるりと震えた。
「ここの穴も、オレが開けたんだよね?」
「あ、ん……」
くちゅ、くちゅと淫らな水音が聞こえてくる。
「あ、あな、は、元々開いてた、よ……?」
「……そーいうこと言ってんじゃないって、分かってるっスよね……?」
太腿に当たった彼の存在感に、ゴクリと唾を飲み込んでしまった。
涼太も、興奮してる……。
指先が、弱い部分を器用に引っかいてくる。
「っ、あっ、だめ、そこっ」
「イイ、の間違いじゃなくて?」
「あぁ、あ、ん」
「今日は、両隣留守だから……声、出していいっスよ」
「んっ……あぁ……あ……!!」
また、呆気なく達してしまった……。