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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第70章 特別


唇が、重なっては離れて。
離れたと思ったらすぐまた、熱を求めて。

暫くそうして、お互いの想いを交換しあっていた。

「涼太……ありがとう」

「ん……?」

私が話し始めたから、涼太の唇は鼻筋へと向かっていく。

「花火……こんな大きいの、初めて見たよ。
テレビでは見た事があるけど……」

「うん」

「こうやって……経験したことがないこと、全部涼太に教えてもらってる…… 」

「大袈裟っスよ、みわ」

涼太はクスクスと笑っている。
ううん、大袈裟なんかじゃない。

「それに、こんな特別な場所で……」

「特別な場所?」

ここは、海常高校、バスケットボール専用体育館の屋上。

そう、ここは……


「初めて出来た、私の居場所……だから」



ずっと、無かった。

家にも、学校にも、どこにも無かった。

家族の中にも、友達の中にも、

どこにも、なかったんだ。

自分の、居場所が。




でも、あなたに出逢って、バスケットボールに出逢って。

こうして今は、私の居場所が……ある。

それがこんなにも、嬉しい。




「……オレの隣」

「え……?」

「オレの隣も、みわの居場所っスよ」

「…………」

「あ、なにその驚いたような顔。嫌なんスか?」

「う、ううん、そうじゃなくて……」

涼太の、隣に?

「そんな事……言って貰えるなんて、思っていなかったから……」

「……泣かないで、みわ」

「涼太……」

強く、強く抱き締めてくれる。
大好きな、腕の中。

私の全部、涼太のものにして……。


「……みわ、お祖母さんが買ってくれた立派な浴衣、汚したくない。
……オレの部屋に、来ない?」



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