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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第70章 特別


打ち上げが終わると、空は驚くほど静かになった。

微かに届くのは、人々の喧騒だけだ。

それすらも、距離があるここに届くのは、潮騒と間違えそうになるほどに小さいもので。

2人の会話を遮るものはなくなった。



息を止めて魅入っていた私は、はぁ、と大きく息をつく。

目の中に残像が残っているような感覚。

「こんな所で花火独り占め……贅沢だあ」

「喜んで貰えたなら、良かった」

「ありがとう、涼太」

もう、いつもの空だ。
遮るものがない分、星が多く見える。


「……アメリカでさあ、見たんスよ、空」

真横から聞こえる声は、いつもよりも少し、甘め。

「うん」

「あー、この空はみわんトコに繋がってるんだなって思ってさ……凄くない?」

「……うん?」

「前にもプラネタリウム見た時に、少し話したっスけど……まあ、時差があるから全く同じ景色を同時にってのは無理だけど……
どこに居たって、この地球上にいれば、繋がってんだなあ……って、しみじみ感じたんス」

「そうだね……」

「ま、それでも逢いたくて逢いたくて発狂しそうになったんスけどね」

「うん……」

逢いたかった。
でも……今は、すぐ隣にいる。

目が合うと、どちらからともなく唇を重ねた。

「ん……」

目の前には興奮した切れ長の瞳と、ふるりと震える長い睫毛。

この1週間逢えずに、身体もこころも渇いていたのは私も同じ。

空港でのキスは、結果的に満たされない身体を余計に煽るものになってしまった。

少しでもその渇きを癒したくて、貪るように唇を吸い合った。

「……みわ」

切なげに届く掠れた声が、涼太の余裕のなさを物語っている。

もう理性は、ほんのカケラほどしか残っていない。

獰猛な獣のように襲ってくるその唇に、声を上げないようにするのが精一杯。

与えられる快感に、私は腰を揺らして応じてしまっていた。


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