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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第70章 特別


浴衣姿の人たちが向かっていく方向とは逆行して……

辿り着いたのは、海常高校。

「え……学校……?」

涼太は歩みを止めず、バスケットボール専用の体育館へ向かっていく。

そして、何事も無かったように鍵で体育館を開けた。

バスケットボール部主将が持つ事を許されている合鍵。

緊急時以外に使う事はないと思ってたけど……。

「みわ、下駄持って入って」

「あ、はい」

そう言われ、脱いだ下駄を手に持って入った。

足を踏み入れると、吸い慣れた空気。
ああ、いつもの体育館だ。

ここに居る時間が1日のうちで1番長いんじゃないかと思うほど、身体に馴染んだ空間。

涼太はそのまま、舞台袖にある階段から2階へ上がっていく。

2階へは、観覧席くらいしか行った事がないけれど……何か、あったっけ?

2階に上がり、観覧席とは真逆……ステージ側に古びたドアがあるのが目に入る。

思えば、このドアってなんなんだろう?
前に見かけた時、鍵もかかっていたし、何かの倉庫かと思って気にも留めなかったけど……。

涼太は驚く事にそのドアの鍵も開けてしまった。

ドアを開くと、目の前には金属製の階段が。

「え……3階なんて、あったの?」

返事もなく上がっていく涼太についていくと、階段を上りきった所にまた、ドアがあった。

ここはなんなんだろう?
ちょっと気味が悪くなって、心臓が嫌な音を立てる。



怒った涼太が、倉庫に監禁……とか……
いや、ないない、そんな事あるわけないっ。

涼太がその外開きのドアを開くと、充満していた空気がブワッと逃げて行った。


……夜空が見えている。


「下駄、履いてね」

言われた通りに下駄を履いてドアの外に出ると、そこは屋上になっていた。


「え……体育館って、屋上があったの!?」


3年間通っていて、初耳だった。
でも、コンクリートになっているだけで、特に何もない。

「最初はね、水泳部の屋上プールを作る予定だったみたいなんスよ」

カラン、コロン。
その音がなんだか涼しげで。

「でもそのうちに、水泳部が全国大会常連になって、あのでっかい屋内プールが出来たから、結局こっちは着工しなかったみたいなんス」

そうだったんだ……。

ドアを閉めた途端、ドンドンという大音量と共に、目の前に大輪の花が咲き乱れた。



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