第3章 海常高校
黄瀬くんには、それはそれは沢山のファンがいるという事が、連日の体育館での盛り上がりでよく分かった。
私は、黄瀬くんというよりは……海常バスケ部のファンかもしれない。
毎日、チームの練習をみているうちに、すっかり好きになってしまって。
海常のバスケ部は、全国クラスの超強豪のようだ。
応援したいという気持ちと、羨ましいという気持ち。
彼らを見ていると、固まったこころが少しだけ、動くような気がして。
その日は、授業後体育館には寄らずにまっすぐ帰宅し、近所のレディースクリニックに行ってきた。
少し気持ちが落ち着いて、痴漢に触られた時の出血について、ちゃんと病院に行った方がいいと思ったから。
結果は、長い爪で強引に挿入され、引っ掻かれたのが原因で少し粘膜に傷がついているということだった。
あの日から、お風呂でしつこく洗ってしまったせいで治りが遅くなっていたようで。
数日で治ると言われ、念のため薬も貰って来たから、もう安心だ。
でも……
傷がついている、という事実が……なんだか、ひどく汚された気持ちになる。
家に帰り着いてから、また少し、泣いた。
私はいつまで、このままなんだろう。