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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第70章 特別


び、びっくりした……。

いきなり、あんな……。
あんな所で、あんなキス。

まだ、頬が熱い。
あれほどまでに余裕のないキス、初めて。

初めてぶつかった前歯に驚いて目を開けたら、必死な涼太の顔が……

いけないいけない、何妄想してるの。

でも、嬉しかった。

私を見つけて、荷物も全部放って私のところへ一直線に来てくれた。

左肩を掴んでいる手が、右肩に触れている彼の身体が、熱い。

逢いたかった……。

少しだけ、頭を預けるように体重を移動させた。





一般車の乗降場まで行くと、桃井家のミニバンが目に入った。

「ども、おじさん」

青峰さんがバックドアを開けて、キャリーケースを積みながらさつきちゃんのお父さんに挨拶をする。

収納が終わると、サイドドアを開けて2列目の座席に滑り込むように乗り込んだ。

「お休みのとこ、すんません。
これ、コーヒー。良ければ」

後を引くようなコーヒーのいい香り。

「きーちゃんとみわちゃんは、一番後ろでもいい?」

そう言ってさつきちゃんは、2列目入り口の座席をワンタッチボタンで一旦小さく閉じて、私たちの乗車を促した。

「お邪魔するっス」

涼太が先に乗り込んでいく。

少しだけ気まずくて、さつきちゃんと目を合わせられない。

「さ、さつきちゃん……ごめんね、さっき」

悩んでいるさつきちゃんに見られたのはやっぱり良くなかったんじゃないかな。

そう思ったけれど、さつきちゃんは耳を赤くしたまま、とっても優しい表情で笑いかけてくれた。

「ふふ、幸せのおすそ分け、貰っちゃった」





「お父さん、きーちゃん達は神奈川だから」

「ああ、わかってるよ」

私が乗り込んだ後、さつきちゃんはお父さんにそう話しかけると、2列目の座席を直して青峰さんの隣に乗り込んだ。

さっきまでは、助手席に座ってたのに……。

無意識なのかな、これ。

「よ、よろしくお願いします!」

運転席のさつきちゃんのお父さんに届くように挨拶をすると、右手にふわりと温かいものが被さってくるのを感じた。


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