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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第70章 特別


コーヒーは自販機で……と一瞬思ったけど、折角迎えに来てくれるんだ、コーヒーショップで買っていくことにした。

「別にそんなに気にすることねーのに」

「青峰っちは馴染みだからいいけど、オレは初対面っスからね……」

幸いにも店内はそれほど混雑しておらず、オレの前に数人の客がいるだけだった。

会計を済ませ、商品受け取りテーブルの前でコーヒーを待ってる間に、みわに帰国した旨のメッセージを送る。

すぐ既読には……ならないっスよね。
まだ寝てんのかな。

……我ながら女々しい。


「お待たせ致しました、本日のコーヒーをご注文のお客様」

「ども。はい、青峰っち」

「オレが持つのかよ……」

「向こうだって青峰っちから受け取った方が気楽っしょ」

渋々コーヒーを持つ青峰っちと、ターミナル出入口へ向かう。

駐車場ではなく、一時乗降が出来る場所で待ってくれているらしい。

しかし空港というのは、いつでも人が溢れかえってるな……。

日本へ来た人。
日本へ帰って来た人。
日本を出て行く人。

それぞれの人間に、それぞれのドラマがある。

それぞれ、待ってくれている人がいる。


少し感傷的になりながらも視線を泳がせた先



隣をすれ違う外国人よりずっと華奢で小柄で



隣の桃色の髪よりずっと目立たない筈の黒髪



Tシャツにジーンズと シンプルな佇まい



それなのに



視線が自然に吸い寄せられて離せない







「……みわ?」

なんで、みわが?

そこには、いつもの微笑みがあった。

「おかえりなさい、涼太」

気付けば周りの景色が物凄いスピードで流れている。

オレは、荷物も全て放り出して駆け寄っていた。

「あの、さつきちゃんがね……」

そこまで言った彼女の唇を、勢い良く奪った。

「んっ、りょっ……」

焦りすぎて、前歯がぶつかった。
そんなの、御構いなしだった。

みわ。

戸惑うように胸の前で組まれていた手がほどけ、身体同士が密着する。

深くなっていく口付けに応じるように、その細い腕がオレの腰に回された。




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