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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第70章 特別


「もしかして、もう付き合ってんスか?」

幼馴染みとの恋愛……。
有名な野球マンガのあの感じ?

「ウルセーな」

「え、マジで? いつから?」

「ウルセーな、ちげーよ」

ムキになってるところが、余計に怪しい。

「ねえ、青峰っち」

「ちげーっつってんだろ!」

大男の大声に、静まり返る機内。
客室乗務員たちも警戒を強めている。

そのうちの1人がこちらに向かってきて……

「お客様」

「す、スンマセン、騒いで。気を付けます」

注意の言葉を遮るようにして、オレが代わりにペコリと謝った。


もー、なんなんスか青峰っち。

「……わりぃな」

ボソッと新聞の下から聞こえる謝罪。
珍しい。

流石に今の大声は大人げないと思ったのか。

「いや、オレもしつこかったし」

「……フラれたんだよ」

「え?」

「……なんでもねー」

フラれた?
青峰っちが? 桃っちに?

イヤイヤ、それはないだろう。

桃っちが最近、青峰っちの事を男として意識してるのは火を見るより明らかだし。

「それ、ちゃんと桃っちに伝わってる?
ちゃんと言った? 好きだって、オレの女になれって」

「……言えるかよ、オマエと一緒にすんな」

……このヒトはホント、バスケ以外だとこうも不器用で……

「桃っち、最近可愛くなったっスよね〜」

また、新聞がカサリと鳴った。

「スタイルいいしさ、あれじゃオトコも放っておかないっスよね〜」

「……」

む、頑固。

「ああでも、ちょっと強引なトコに弱いから、押しが強いヤツに持ってかれちゃうっスかね〜」

「……何が言いてえんだよ」

「いや、別に?
人生一度きりしかないんだから、グダグダ言ってねぇで好きな女、手に入れろよとは思うっスけど」

「……オマエと一緒にすんなって言ったろ」

「ま、オレも強引に手に入れたクチだから偉そうな事は言えねっスわ」

「……そんなのアリなのかよ」

「さあ? オレ、自分を殺して抑えられるほどオトナじゃないから分かんねぇっス。
欲しいもんは欲しい」

「……」

青峰っちは、何か考え込んだまま暫く黙っていた。

もう、新聞が揺れることはなかった。



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