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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第70章 特別


まだ足元が少しふらつく涼太を支えながら、体育館を出る。

外に出たはずなのに、息苦しくなるような湿気に顔を顰めた。

夏の日は長く、夕日が顔を出すまでにはまだ少し時間がかかりそうだ。

「……あ」

体育館前のベンチに座っている人影と目が合う。

「みわちゃん」

青峰さんと、さつきちゃんだった。
2人も、目の縁が赤い。

「……お疲れさま、でした」

どういう顔をしたらいいのか、分からない。
ぺこりとお辞儀をして、去ろうとしてしまう。

「黄瀬、オマエ神奈川帰んの?」

「帰るっスよ。明日、調整あるし」

2人とも、泣き腫らした目をしているのに普通に会話している。

……私、大人げないかも……。

「また成田まで来んの、面倒じゃねえ?」

「明日から出発とかなら、泊まってくんスけどね……」




涼太と青峰さんは、明後日から1週間ほど、アメリカの大学が主催のバスケットボールキャンプに参加する。

去年、赤司さんから紹介して貰ったらしい。

私もインターネットで少し調べてみたけれど、とても貴重な経験になると思う。

かなり費用の面では負担になるみたいだけど、年末に涼太がご両親に頼み込んで、お金を借りる事にしたって。

涼太のお父さん……どんな人なんだろう。
まだ、お会いしたことはない。
似てるのかな……。

うちのおばあちゃんは気ままに、お金は出してあげるからみわもついて行ってしまったらどう?
と言っていたけれど、とんでもない!

大人しく帰国を待とうと思う。
次の週の夏祭りに、一緒に行く約束をしてるんだ。

……おばあちゃんは、真実を打ち明けてくれてスッキリしたからなのか、最近は容赦がない。

私は、早く独立出来るようにならなきゃ。




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