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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第70章 特別



1点差でリードしている。


それはつまり、1ゴールでも決められれば逆転されるということ。







青峰っちのシュートはリングに当たり、リングの外へと弾かれた。







まだだ。
まだ数秒の時間が、ある。

まだ桐皇の逆転は不可能では、ない。

あのリバウンドを取らなければ危険だ。
崩れた体勢を立て直し、ゴール下へ走る。

青峰っちは、シュートの瞬間に体勢が傾き、転倒していた。

既に、両チームのセンターがリバウンドを奪うべく、長い手を伸ばし高く飛んでいる。




このボールを、取らなければ!!
コート内の全員が、そう思っていた。





刹那。








ボールはリングへと吸い込まれていった。








桐皇の3年センターの選手が、なんとかチップアウトをしようと無我夢中で伸ばした指先がボールに触れ、図らずもゴールに繋がったのだ。


湧き上がるコート内の選手と会場。



まだだ。
まだ、諦めない!




オレはボールを奪い、持てる力の全てを使って、走り出した。



「走れ!! まだ、終わってない!!」



その声に反応し、走り出す仲間たち。


しかしその直後


無情にもブザーが鳴り響いた。





試合、終了の。





あんなにも近かった歓声が、遠くなる。
遠退いていく。




負け……た。

負けた、のか。

オレたちは……また、負けた のか。





限界まで酷使した足は、もう動いてはくれなかった。

オレは笠松クンと小堀クンに支えられて、整列をする。

青峰っちも、桜井クンに肩を借りてようやく立っている状態だった。


どちらの学校の選手も、皆涙を流していた。


しかし、両者のその涙の意味は全く異なるもの。



天国と、地獄。



優勝と、準優勝。



ある広告にあった。



準優勝は、敗者だと。






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