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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第70章 特別





ファイナルは日本の高校生レベルを遥かに超えるものだった。


黄瀬涼太と青峰大輝


類稀なる才能のぶつかり合いは、観客も思わず声を出すのを忘れるほどの勢いと迫力。

往年のNBA名選手 マジック・ジョンソンとラリー・バードの試合を彷彿とさせるものであった。

まさに、宿命のライバルともいえる2人。

この試合の結果がどうであれ、来月の月刊バスケットボールでは、この2人が誌面を大きく飾るだろう。




第1Q・第2Qこそお互いに出方を伺うような試合運びであったが、第3Qからは各チームのエースが火を噴いた。



涼太が完全無欠の模倣(パーフェクトコピー)を使い、ディフェンスを切り裂くような攻撃と、電光石火の動きで相手ボールを奪う守備。

まさに獅子奮迅の大活躍だ。

そして持ち前の器用さで、多彩なシュートを決め続けた。

また、特筆すべきは、基礎能力の向上。

以前までは完全無欠の模倣に頼りすぎるきらいがあったが、涼太個人のスキル向上により、彼オリジナルのプレーの幅が広がっていたのである。


対する青峰さんもゾーンに入り、疾風怒濤の如く応戦した。

もはや彼の中に"油断"や"驕り"などという言葉は存在しない。



まさに、全力。



そして何より驚いたのは、2人のゾーンの持続時間。

涼太は第3Qの後半からゾーンに入った。

青峰さんは、第3Q、第4Qを丸々ゾーン状態で居られるという驚異のポテンシャルを見せていた。

……いや、これはお互い、相手が"彼"だからかもしれない。

自分の前に立ちはだかるのが"彼"だからこそ、持てる力の全てを振り絞っているんだろう。



コートの中では、取っ組み合いの点取り合戦が再び行われているのである。


「100点ゲーム」という言葉を嘲笑うかのようなハイスコア。

第4Qの後半にもなると、電光掲示板には
134 対 133 
と表示される事態となった。


海常のリード。





第4Q、残り5秒。





青峰さんが涼太のディフェンスをなんとかかいくぐり、バランスを崩しながらも放ったシュート。




このシュートの行く末が、試合を決める。









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