第70章 特別
……勃っていない。
こんなにも長い間みわの身体に触れて、オレも彼女もこれ以上にないくらい昂ぶっているはずなのに、男根はピクリともしていない。
いつも、痛いほどに怒張しているのに、今は見る影も無い。
どうして?
こんな事、初めてだ。
オレの下には準備万端のみわ。
泉を溢れさせて、オレを待っている。
実は勃ってませんでしたなんて、そんなみっともないことを言える訳がない。
でも、見られたら一発でバレてしまう。
慌てて身を屈めて、みわの乳房に吸い付いた。
「あっ……!?」
挿入されると思っていたみわは、少し驚いたように反応した。
「んッ、っ……」
しかし、与えられる快感によって、更に顔は蕩けていく。
ああ、可愛い。
大好きだ。
急がなければ、急いで、勃たせて、みわを満足させてあげなきゃ。
オレの、大好きな人を。
乳首を吸い上げながら、片方の手で自身を思いっ切り扱く。
早く、勃て。
それなのに、全く反応せず、柔らかいままのペニス。
皮膚の表面が剥がれたって構わないと言うほどの力で激しく扱き続けても、勃たない。
どうして……。
ヤバい。
焦る。
早く、早く。
焦れば焦るほど、局部は刺激に鈍感になっていくようで、まったく硬くなる気配がない。
冷たい汗が背中を伝うのが分かる。
どうすれば、どうすればいいんだ。
みわを、みわを抱きたいのに。
頭の中は軽くパニックを起こしていた。
ただでさえ今日は自分自身の気持ちを全くコントロール出来ていないのに、身体まで思い通りにならない。
ダメだ。
勃たない。
「……りょうた……?」
様子がおかしい事に気が付いてしまったのか、みわが上半身を起こし、オレの異変を目にしてしまった。