第70章 特別
どうやら空はご機嫌斜めなようで、窓の外からは雨が跳ねる音が届くようになってきた。
でも、そんなささやかな音が入り込む余地はない。
「……あっ……」
室内は、みわの甘い吐息とともに上げられる嬌声と、彼女の身体の状態を教えてくれる水音で満たされていた。
好きだ。
まるで初めてのセックスのように、ぎこちなく進んでいく行為。
震える指先で膨らみを揉み、先端を優しく舌で転がす。
「ん、ぁ……」
ゆっくり、ゆっくり、執拗ともいえるほど。
そのまま、指と舌で全身を辿っていくと、みわからは絶えず悩ましい声が上がった。
可愛い。
その声だけで、脳みそが噴き出しそうだ。
好きだ。
ちゃんと、気持ち良く出来てる?
下半身に触れる頃には、みわの腰は痙攣し、中心から蜜が溢れ出しているかの如く、潤っていた。
「アっ……あん、あ」
溢れた蜜を塗り付けるようにしながら外性器を探る。
「っ、だめ……涼太あ、アァ……んッ」
濡れた指で陰核を転がすように愛撫すると、普段よりもゆっくりな全身への愛撫に高められていたのか、すぐにイッてしまった。
いよいよ、みわの中に指を挿れる。
いつもは興奮だけが頭を占めている筈なのに、ここでも僅かな恐怖心が頭をもたげた。
大丈夫。
ゆっくり、挿れれば。
柔らかくなった花弁の中心に指を添えると、やわい肉がオレの指を呑み込むように、沈んでいく。
「んんぁ、あッ」
「みわ、痛くない……? 大丈夫?」
「……んっ!」
少し指を動かすだけで、チュクチュクと可愛い音が鳴る。
ここ、ここがみわのイイところ。
「あぁ……ん」
彼女はまるで楽器みたいだ。
指で弾くと、押すと、擦ると、それに合わせて魅惑の嬌声が上がる。
みわは、抵抗もせずオレに身を委ねていた。
「りょ、涼太……もぅ……」
半開きにして唾液が零れた小さな口からは、もう限界の合図。
大丈夫だろうか。
傷付けないだろうか。
こんなオレでガッカリされないだろうか。
自分自身の服を脱ぎながらコンドームの袋を手に取ったところで、異変に気が付いた。