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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第70章 特別


この時期特有の湿度によって、いつもよりも強く香る畳の匂い。

布団は2組並べて敷いてあるが、今2人はその片方の布団で向かい合って正座していた。

就寝準備は既に終えた。
あとは寝るだけ、だ。


「みわ、今日はホントに、ありがとね。
嬉しかった。料理も、プレゼントも……メッセージもさ」

みわは、風呂上がりで上気した頬を更に赤らめていた。

「ま、まさかここで見られるとは思わなくて、全く想定外の事態で恥ずかしくて倒れそうなんだけど……」

「嬉しいっスよ、すごく」

ブローしてふわふわになった髪を優しくかき上げると、みわの香りが舞った。

「みわ……もう1つ、欲しいものがあるんスけど」

「うん」

満面の笑顔は、今この時、オレだけに向けられたもの。





「……みわが、欲しい」






「……うん、んっ……」

みわの返事に被せるように、唇を重ねた。





みわを優しく押し倒し、軽いキスを続けていると、先ほどまでの気持ちが少し和らいでいくようだ。

これなら大丈夫、いつも通りだ。

そう思ったのに、みわの身体に触れる指がまた、震えてしまう。

Sariと一悶着あった時には、みわを抱く事で汚してしまわないか、受け入れて貰えるかと不安に駆られたけど、今回は違う。


壊してしまわないか。
嫌われてしまわないか。
この気持ちを伝えられるか。


まるで、初めてみわを抱いた時のような緊張感。

優しく、傷付けないように、気持ち良くなるように、そんな事ばかりが頭をよぎって。

真綿でくるむように、優しく、優しく抱きたい。



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