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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第70章 特別


視覚の代わりに、聴覚や他の感覚が敏感になっているのがわかる。

大好きな声が、じんと響いてくる。





「心配……ばかり、


迷惑……ばかりかけて、ごめんなさい」





「こんな、私ですが…………」




空気をも揺らすような、少し震えている声。
少し、鼻が詰まったような涙に濡れた声。






「これからも……よろしく、お願いします」




「神崎 みわより」




カサカサと、封筒に紙を入れているような音がする。

メッセージカードだろうか。

「は、ハイこれ、同じ事が書いてあるだけだから……紙袋にでも入れておいて……」

そう言って紙袋にメッセージカードを入れたみわを、ぎゅっと捕まえて抱きしめた。

「あ」

「……ありがとう、みわ」

ああやっぱり、何かが違う。
なんだろう、この感覚。


「ゴメンナサイ……こんな、暗い所で。
明るい所だと、ゼッタイ恥ずかしすぎて読めないと、思ったから……」

「はは、そういう理由なんスか?」

みわらしい。
こういうのは、やっぱり苦手なんスね。

……普段行き慣れないファッションビルに、1人で行ってくれたんだろうか。

きっと、不安でオロオロしながら買い物した筈。

もしかしたら、下見で様々な場所を探してくれたのかもしれない。

これを選ぶ時は、オレの事だけ考えていてくれたんだ。

オレに、似合うかなって。

メッセージカードに、なんて書こうかと悩んでくれた?

失敗しないように、緊張しながら書いてくれたんだろうか。

書くだけじゃなくて、ちゃんと言葉で伝えたいと思ってくれたんだろうか。

みわなりに、一番素直になれる方法を探して。


……もー、なんだよ、これ……

「ねえ、オレ……貰ってばっかで、どうしたらいいの?」

こんなに薄暗くても、見えなくても、ハッキリと感じるみわの気持ち。

みわに触れる手が、震える。




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