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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第70章 特別




涼太には居間で待っていて貰い、部屋で着替えた私はエプロンを身に付けて台所へ篭った。

料理は既にどれも下拵え済み。

ほうれん草のキッシュを焼いている間にオムライスを仕上げる。

冷蔵庫から、サラダを出して。
頂き物だけど、ローストビーフも出して。
スープを温めて。

簡単だけど、ちょっとお祝いな感じを意識して盛り付けて。

バルサミコ酢なんておばあちゃんちにもなかったし、普段はあんまり使わないんだけどね……。

でもきっと涼太はオシャレな料理をいっぱい知ってるだろうから……こんな庶民的なの、どうだろう。

居間を覗くと、こたつ布団がないこたつテーブルに肘をついて、座布団の上に座ってテレビを観ている涼太の姿。

びっくりするほど、あの空間に似合わない。
もうホントに、似合わない……。

このひとは、私なんかと付き合っていい事あるんだろうか?

また怒られちゃうから声に出しては言えないけど、あまりに世界が違いすぎて……。

ちょっとため息。




「お、お待たせ……」

お盆に料理を乗せて、せっせと運ぶ。
涼太が手伝おうと言ってくれてるけど、これは私がやらなきゃ意味がないの。

やっぱり涼太にお料理を出すのは慣れなくて、ドキドキしながらお盆を持っていたら足がもつれてもつれて。

「みわ、ホントに大丈夫?」

「だ、大丈夫! 大丈夫だから!!」




「うわ、スゲー。美味そう!!頂いていい?」

「め、召し上がれ〜……はっ!
ま、待って!!」

早速料理に手をつけようとしてくれた涼太を慌てて制止して、バースデーソングを歌うと、涼太も笑いながら手拍子を合わせてくれた。

テレビは既に消してあり、2人の声だけが部屋中を満たしていく。

ああ、こんな近くで涼太の笑顔が見れて、幸せだなぁ。


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