第69章 偽り
パタパタと窓を叩く音がする。
窓の方を見上げると、いつの間にか空は白み、外は雨が降っていた。
木の葉っぱの上で水滴が跳ね、まるで葉が踊っているよう。
そっか……関東はもう、梅雨入りが近いって言ってた。
梅雨……雨の季節。
涼太の季節。
今年のお誕生日プレゼントは……何にするかはもう決めてあるんだ。
喜んで貰えるかな。
プレゼントって、慣れてないから……。
胸元には変わらず涼太の頭が乗っている。
寝息が肌に当たって温かい。
「わ……ご飯も食べずに寝ちゃった……」
「ん……」
涼太が身じろぐと、彼の腕や顔が微妙な部分に擦れて、変な気分になる。
「……涼太、起きて?」
「んー……ヤダ」
「や、ヤダじゃなくて」
肩を掴んで軽く揺すると、倍の力で腰に抱き着かれた。
「みわ……」
「なぁに?」
「呼んだだけ……」
ぼそっと呟くと、もそもそと顔を胸に埋めてくる。
か、可愛い……!
じゃなくて!
「お、起きてってば、朝だよ」
「んー……? まだ、朝じゃないっス……」
まだ微妙に夜が明けきっていない事に気付いているのか。
め、目ざとい……。
「もう、間も無く夜が明けます! 朝です!」
「……オハヨーのキスしてくれたら、起きる」
「ほぁ!?」
「んー」
涼太は口を尖らせて私の方へ顔を向けた。
う、う、う
も、もう……!
わがままっ子の要求通り、ちゅっと軽くキスをした。
「ほ、ほら、起き……」
途端、大きな手が私の後頭部をがしりと掴み、再び唇が重なった。
「んんん!?」
ぐいぐい力を込められて、どんどんキスは深くなっていく。
「んんんんん!?!」
「ん……みわ、おかわり……」
「だから、ご飯は起きないと……」
太腿に、硬い感触。
これって……
「みわを、おかわりっス……」
ちょ
ちょっと
「ちょっと、涼太〜!!!」