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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第69章 偽り


いつもは行為の後、彼に包まれるように眠るのが殆どだけれど、たまにこうして甘えてきてくれることがある。

私しか知らない……のかもしれない、彼の可愛い一面。

自分の胸元に視線を落とすと、整った鼻梁と長い睫毛が見える。

すぅすぅと、規則正しく聞こえてくる寝息。

……可愛い。
無性にぎゅーッとしたくなってしまう。

だめだめ、そんな事したら起きちゃう。


涼太が海常バスケ部主将として動き出してから早くも1ヶ月と少し。

主将兼エースというのは、並々ならぬプレッシャーだと思う。

それなのに、彼はコートの中で誰よりも元気で、誰よりも明るく、誰よりも動き、誰よりも美しく、そして誰よりも強い。

そんな彼に羨望の眼差しが集まるのは必然。
でも、いいことばかりではない。
対等に接する事が出来る人間がいない。

笠松先輩には小堀先輩や森山先輩。
早川先輩には中村先輩。

皆、身近に主将のサポートが出来る人がいた。

今の涼太にはそれがない。
彼が悪いわけでは決してない。
彼の力が、魅力が大きすぎるんだ。

周りの人間は彼に圧倒され、自然と憧れの存在にしてしまう。

同じチームの中ですら、そういう事が起きていた。

涼太もそれは、分かっているんだろう。

人前ではひたすらに明るく、悩む様子も疲れた様子も見せない彼を、心配していた。

たかがマネージャーだけど、私が彼を支える存在になりたい。



彼を胸に抱いていると、どうしようもないくらい胸が苦しくなる。

好き。
この人が、この人の全てが、好き……。

声に出したら涙が零れてしまいそうな程に好きすぎて。

彼が少しでも安らかでいられる場所になれますように。

そう願って柔らかい髪にキスを落とし、混じり合う熱に身を任せる様に、ゆっくりと目を閉じた。


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