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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第69章 偽り


今年は気候が少しおかしい。
暖冬のせいで木々や花は時季外れに咲き乱れ、そして早々に散っていった。


少し違うのは、気候だけではない。

今年の海常バスケットボール部も、去年までとは少し違う。


バスケットボール専用体育館の修繕のため、月に2度ほどだった休養日が、週1日になった。

トレーニングルームの機材が増えた。

世の中の流れからか、バスケットボールの国内人気は徐々に上がりつつも、運動部自体の部員数は減り、1軍と2軍のみの構成になった。

その代わり、体育館を覗きに来るバスケットボールファンの人数は右肩上がりだ。

新入生に全中経験者が複数人入部した。

そして特に、ただでさえ全国強豪として名を上げていた男子バスケットボール部が、ここ2年は全国上位の成績を上げているとあって、学校側も様々な支援を惜しまない状態になっている。

バスケットボール部専用の合宿所が用意されるようになったり、何か学校から貸与される際には、優先的な扱いを受けたり。

やはり、全国大会で結果を残すという事は、これだけの影響力があるものなんだなぁ……。



この春から、おばあちゃんのリハビリの場を木吉さんが行っていたリハビリセンターに変えた。

本心を言えば、私がおばあちゃんのリハビリを出来るように……とは思うけれど、今すぐにどうにかなるものではないし、現実的ではない。

おばあちゃんも最初は拒否していたけれど、説明を受けに行った際のスタッフの対応や、杖を使わずに生活できるようになる可能性に魅力を感じて貰えたみたい。

ただ、片道3時間というのはあまりに遠すぎるため、リハビリセンターの近くのマンスリーマンションを借りた。

うまくいけば、1~2ヶ月で通院は終わる……筈だけれど、それは実際に治療を行ってみないとなんとも言えない事で。

でも……おじいちゃんの遺産は、おばあちゃんの為に使って欲しい。

私はおばあちゃんの家で、暫く1人で過ごす事になる。

寂しい気持ちは勿論あるけれど、時々涼太も遊びに来てくれるし、普段は空き時間を全て勉強にあててしまうので、大きな影響はなかった。



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