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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第69章 偽り


「……えーっと……笠松? 小堀?
も、もしかして……」

背中を変な汗が伝っていくのがわかる。

「はい! 兄がお世話になっております!」

まさかの、まさかの、笠松センパイ達の弟さん!?

「俺たち、2年前のウィンターカップを観て、絶対に海常に行こうって、海常でプレーしたいって思ったんです!」

そう意気揚々と話すのは笠松クン。
お兄さんのような硬派なタイプではないようだ。

「あの、黄瀬先輩からのパス、シビれたよな!」

そう嬉しそうに語るのは小堀クン。
こちらもお兄さんのようなおっとりタイプではないらしい。

「……ま、あの試合は負けちゃったっスけど」

未だに胸の奥をチリリと焦がすような痛みを感じた。

「でも! 感動しました!」

「俺たち! 絶対黄瀬先輩のチームでやりたいと思ったんです!!」

オレのチームで。

それはまさに今オレのこころの中にある、"また、笠松センパイのチームでプレーしたい"という気持ちと同じものだろう。

オレが尊敬するセンパイに対して思っている事を、後輩から同じように思われるのはなんだかくすぐったく、嬉しかった。

それにしたって……。
センパイ達、こないだ春休みに練習に来てくれた時もなんにも言ってなかった……。

センパイがあのワルそうな顔でニヤリと笑う姿が目に浮かぶようだ。

「よし、それじゃ練習始めるっスよ!
新入生はみわについて体力測定から!」

「はい!!」





桜の満開が早かった今年は、やはり散るのも早かった。

既に桜は青い芽を出し始め、葉桜として美しく咲き誇っている。

宵闇の中に浮かび上がるような桃色が、美しい。

「みわ、知ってたんスか?」

「ふふ、私は全中観に行ってたからね、そこで会ったの。ごめんね、黙ってて。
驚かせちゃおうと思って」

くすくすと笑ってこちらを振り向いたみわは、桜よりもずっとずっと綺麗だ。

「笠松くんのボールコントロールと、小堀くんのボールキープの技術は、ずば抜けているよ。すぐレギュラーになるのも夢じゃないレベル」

「へえ、そりゃ期待っスね」

オレたちレギュラーを脅かすようなプレー、楽しみにしてるっスわ……。


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