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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第69章 偽り





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サカキ チハル 様


先日はありがとうございました。
神崎 みわです。

祖母と話をする事ができました。
やはり、過去の事を私が
忘れてしまっていたようです。

過去の事をお話して欲しいと
お願いしておりましたが、
その必要があるか、今暫く
考え直してみようと思います。

気持ちが決まったら、
また相談させてください。

勝手ばかりで申し訳ありません。
よろしくお願いいたします。


神崎 みわ

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そう簡潔にメールを送って、ふうと息をついた。

突然の展開に驚いてしまったけれど、知らないままでいるよりも、ずっと良かった。

……それと同時に胸に湧いた気持ち。

"偽りの家族"と思わず脳裏に浮かべてしまったこの気持ち。

いつか、うまく消化できますように。




不思議に思っていた。

いつも私を助けてくれるおばあちゃんの金銭的な余裕に。

お母さんからお金を預かっているものと思っていたけれど、私立の高校に入る費用から1人暮らしの家賃・生活費の援助。

更に私生活では好きなものを買いなさいとお小遣いをくれたり、スマートフォンをキャッシュで買ってくれたり。

資産家のおじいちゃんの、遺産。

おばあちゃんにとって、愛する人が遺してくれた大切なものを私に使ってくれていたんだ。

そう思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。



高校を出たら、奨学金制度を使って大学に入って、バイトしながら勉強しよう。

おばあちゃんに少しでもお金を返そう。



そして、金銭的にも精神的にも自立して……家を出よう。


ひとりで生きよう。


そう心に決めた。


もう、春が訪れようとしていた。






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