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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第69章 偽り


「みわ、これでもまだ、おばあちゃんって呼んでくれるの?」

おばあちゃんの瞳には涙が滲んでいる。

「おばあちゃんだよ。ずっと私の傍にいてくれた、おばあちゃんに変わりないよ」

おばあちゃん。

大好き。

2人で抱き合って、暫くごめんね、ごめんねって言い合っていた。

血の繋がりなんて関係ない。

私の事を、大事にしてくれる大切な大切なおばあちゃん。







「……でも、これ以上過去の事をチハルさんから聞き出すのはやめて欲しいよ、みわ」

おばあちゃんまで。

「どうして……?」

「みわが当時辛くて辛くて、自分の中にようやく閉じ込める方法を見つけて、それで失った記憶なんだよ。
それを無理矢理たたき起こして、みわが傷つく結果になるのは見ていられないよ」

チハルさんや涼太と同じ事を……。

……。



「分かった。チハルさんの所で昔の事を聞くのは、やめる……」

知りたい。知りたいという気持ちは勿論……ある。

でも、自分以外の人を傷つけてまで知るべき事じゃないんだ。

それは、よく分かっているつもりだから。

自分が傷つくのは、構わない。

でも、今脳裏に顔が浮かぶ大切な、大切な人を傷つける事だけはしたくない。

「でも、今みわが抱えている悩みや不安を聞いて貰うのはいい事だと思うよ」

「うん……」

「昔の事なんてのは、もし今後思い出す事があれば、その時に考えればいい事だよ。
今は、みわが見つけた目標に向かって一生懸命頑張ればいいじゃない」

「そうだね……ごめんなさい」

血は繋がっていないのに、私の事を本当の孫だと思って育ててくれているおばあちゃん。

あくまでも他人なのに、私の事を大切にしてくれる涼太。

私も、そういう人たちの事を大切にしたい。




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