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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第69章 偽り


「ん~……どれにしよっかな……」

おシャカになったのはフード付きのダッフルコートだったけど、気分転換に違う形の物にするか。

特に理由はないけど、目についたグレーのダウンコートを手に取り、軽く羽織ってみる。

「みわ、どうかな」

みわと鏡の前で軽くターン。

「いつもと違う感じだね。素敵」

「んじゃコレにしよっかな。気に入った。安いし」

それに何より、海外メーカーのものはサイズが豊富で助かる。

国内メーカーだと、いざ気に入った服を見つけても、袖が短かったり腹がはみ出たり……。

あんまりオレに合うサイズ展開をしてくれているメーカーがない。

「すごいね、即決」

「まあ、なんだっていいんスけどね」

「どれも似合うもんね、涼太」

優しいその微笑みについ安心しそうになるけど、きっと彼女のこころの中は今、荒れているだろう。

「……みわもなんか服、買ってあげようか」

「ううん、あるから大丈夫だよ!」

即答されるという悲しみ。

みわは、必要最低限の衣類や装飾品があればそれで満足するタイプだ。

だから靴も鞄もそんなに種類がない。
壊れたら、さすがに買い替えを考えるんだろうけど。

オレは、もっと貢ぎたいんスけど……。

「あ、みわ、このバッグはどうスか?」

みわは学校鞄以外に、小さなトートバッグとショルダーバッグくらいしか見た事がない。

大きなトートバッグを見つけ、手に取った。

ちょっと高校生向き、というよりもOLサンの方が使ってそうなシンプルなデザイン。

色はブラック。一見地味だけど、素材もしっかりしているし、そんなに高くない割に長く使えそう。

「それともリュック?」

素材が薄めのリュックも一緒にみわの前へ持っていく。

こちらはネイビー。
口が大きく開くようになっているから、書類や教材などを入れたりするのにもいいだろう。

それに、持ち手もついているから、大きなトートバッグとしても代用出来そうだ。

「涼太、ホントに私、今持ってるので十分だから」

「ダーメ、どっちか選んで」

もう無理矢理にでも買う。
そう決めた。

……ショッピングで憂さ晴らしするOLさんの気持ちがよーく、分かるっス。




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