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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第69章 偽り


「……黄瀬、オマエやっぱ凄いんだな」

センパイがチカゲサンをおんぶしているオレをちらりと見て言った。

「そうっスか?」

「助かったよ……ホントに」

合コンは無事に終わり、結局なんとかかんとかセンパイはボコられる事なく済んだ。

他メンバーも可愛い女子大生から連絡先などをゲット出来て、喜んでいたようだ。

オレのスマートフォンにもほぼ全員分の連絡先を入れられたけど……

……来月には多分顔すら忘れてるだろう。

「悪かったな……折角の休みに。神崎も」

「いえ、お気になさらないでください」

「かぁさまつくん!!」

「は、ハイ!」

背中の酔っ払いが騒ぎ出した。

「ああもう! 暴れたら危ないっスよ!」

「若人がー、オンナノコが苦手とか言ってちゃいかんよ!
セーシュンしないと! セーシュン!」

チカゲサンだってセンパイと1歳しか違わないのに……。

「す、スイマセン……」

そして酔っ払い相手にもタジタジな笠松センパイ。

「あれだ! そんなに苦手なら! うちのおかーさんのカウンセリング受けなさい!」

「先輩のお母さん、ですか?」

「そーだ! そーなのだ! うちのー母はー有名なカウンセラーなのだぞ!」

もはや口調がおかしい。

「いまでこそねぇ、個人でやってっけど……数年前迄は、だいがくびょーいんとかおおきなびょーいんではたらいてたんだぜぇ!?」

どこかのお笑い芸人みたいな口調になってきた。

「チカゲサン、もうキャラが行方不明なんスけど」

「きせくん! ほら! そこ右!」

「ハイハイ」

酔っ払いの指示通りに角を曲がると、他の家よりも一回り大きい一軒家が目に入る。

白壁で小さなお城のような綺麗な家だ。
ガレージの中には数台の外車が見える。

「そこー!」

しかしこんな状態でよく自分の家が案内できたな。
犬か。犬の帰巣本能か。

「はい、着いたっスよ」

「うーん……」

「降りてください、チカゲサン」

「うう……」

チカゲサンはオレの首に腕を巻き付けたまま、降りようとはしない。

「チカゲサ」

「ぎもぢ……わるい……」

「ちょ!?! 降りて! 今すぐ降りて!」

「も、むり……」


……こうして、オレの服はチカゲサンのゲロまみれになったわけである。


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