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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第15章 噂 ー前編ー


翌日から、通常練習が始まった。

黄瀬くんは安静が必要なため足を使う運動ができないからか、少しイライラしているようだった。

「笠松センパイ! オレもう全然大丈夫っス!」

何度か監督や先輩に噛み付くが、勿論取り合っては貰えない。
体育館の中の空気が少し悪かった。

私は相変わらず仕事が多いので、ずっと体育館に居ることはできなかったけど、黄瀬くん、大丈夫かな……。

今日は長めのミーティングがある。
ミーティングルームの準備もしなきゃ。

次は、各校の試合や練習映像の入った箱を、部室からミーティングルームに運ぶ作業。

重い……

こういう時、女というのは面倒臭い。
何往復もしなければ運べないのだ。

「あ、神崎サン、手伝うよ」

2軍の3年生だ。休憩中だろうか。

「時間大丈夫ですか? 助かります!」

何箱かを一緒に運んでもらうと、あっという間に作業は終わった。

「ありがとうございました、助かりました!」

ミーティングルームにふたりきりだと、バスケ部の人でもやっぱり緊張する。

「……神崎サンてさあ、本当に黄瀬と付き合ってんの?」

「あ、はい、一応……」

「もう黄瀬とセックスした?」

……え?

「な、なんでそんなこと……」

「その反応だとまだなんだ。アイツ、普段から屋上で誰彼構わずヤッてるから、やめた方がいいよって言っておいてあげようと思ってさあ」

「……」

「あ、ごめんね青くなっちゃった。知らなかった? アイツ、相当だよ。いざヤッてみて幻滅されたり、ヤリ捨てもしょっちゅうだから、気をつけな」

そんなの、知らない。
でも、付き合う前なら……もしかしたらそういう事もあったのかもしれない。

でも関係ない。
今だから。私が一緒にいるのは今の黄瀬くんだから……。

思いとは裏腹に、涙が溢れてきた。
なに、この感情。

「ゴメンネ、意地悪言うつもりはないんだけど。ただ、俺神崎サンのこと、気になってたから……」

突然、両肩を掴まれた。

「な、なんですか、離してください」

「黄瀬と別れて、俺と付き合わない?」

何を、言ってるの?

「お断りします。ごめんなさい」

振り払おうとするが、ビクともしない。
近づいてくる顔……怖い。この人、何しようとしてるの?
やめて。

その時……ミーティングルームのドアが開いた。
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