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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第69章 偽り


「黄瀬君はおうちどこなの?」

「え、今まだ高校生なんだ! カワイー」

「こんなにイケメンなのに彼女募集中ってこと?」

「背高いね! 黄瀬君も何かスポーツやってるの?」

「雑誌見たよ、前はモデルやってたよね? 最近はやってないの?」



イタリアンレストランにて男女6人ずつの合コンが始まった。

始まった途端、男女それぞれ向かい合わせに座っているのにも関わらず、それも全部無視でオレに質問が殺到している。

それをオレが適当に相手する、合コンはそんな微妙なスタートを切っていた。


「お、おい黄瀬、ちょっと来いよ」

開始早々、オレは笠松センパイにトイレまで引きずり込まれた。




「オマエ! 女子ホイホイか! もっとこう、うまい事かわせねえのかよ!」

「無理言わないで欲しいっス! そりゃモーションかけられたらかわせるけど、あんなんただの質問じゃないスか」

「あああ、先輩方にシバかれる……」

頭を抱えているセンパイの貴重なショット。

だから、そもそも人選ミスだって事に気が付いて欲しいっス、センパイ。
これは普通に想像できた事態。

オレは今日、センパイのドーテー守りに来てるんスから。

「ところでセンパイ、チカゲサンの事はどう思ってるんスか?」

「チカゲ先輩? どうってどういう意味だ」

この質問でこう聞き返されたのは生まれて初めてかもしれない。

「どういう意味もこういう意味もねえっスよ、女性としてどう見てるかってことっス」

「綺麗な人だよな」

「そっスね。で?」

「で? って……どう見てるかって、どういう意味だ」

いつもの真面目で真っ直ぐな瞳。

ダメだ。
センパイ、こんなに重症だとは思ってもいなかった。

「カンタンに言えば、お付き合い出来るかどうかって事っスよ」

「ハア!?」

センパイの顔が真っ赤に染まる。

「ねえよ! あるわけねえだろ! 大体オレは今バスケに必死でそんな事考えたこともねえよ!」

……このドンカンっぷり、さすがにチカゲサンに少し同情する。

いや、彼女はセンパイがこういう男だと知っての事だろう。
彼女の方が何倍も上手だ。

「センパイ、気を付けないと食われるっスよ」

センパイの顔、今度は真っ青になった。

この百面相、みわみたいっスね。



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