第68章 際会
「……っ、ぁ」
涼太にキスをされて、いつもみたいに手を握ってくれると思っていたら……
両手を頭の上に纏められてしまう。
……ん?
カチャリという音と共に、両手首にふわふわした感覚。
目を開けると、あまりに近くに彼の瞳があって恥ずかしい。
琥珀色の瞳の中に、私が映っている。
でも満足そうに微笑むその顔は……
そういつも、悪いコトを考えている時の目。
咄嗟に距離を取ろうと手を動かしたらカシャンと音がしただけで、動かない。
「え、なに……?」
身を捩って目線を頭上に送ると、手首にピンク色のふわふわしたものがついている。
よく見ると、ふわふわの間にある金属のチェーンがベッドフレームの装飾の一部に引っかかっている。
これじゃ、動けない。
「なに、これ……?」
「ん? 手錠」
てじょう?
すぐに脳内で変換ができない。
てじょう……手錠?
にっこりと眉を下げ頬を緩めて、天使の微笑みを向けてくる涼太が……悪魔に見えてきた。
「な、なんで手錠なんか、ねえ」
「みわ、今日は声も何もかもガマンしなくていいからね」
「え、え……? なに? こわい……」
涼太が手元に持った小さなボタンを押すと、繋がれるようにくっついているピンク色の球体が振動しだした。
その小さい物からは想像できないくらいの振動音が静寂を振り払いながら響き、その無機質な音が不安を煽る。
涼太が震える球体を腋の下に当てた。
「っきゃ……!」
感じた事のない感覚。
擽られているような、ううん、そうじゃない。
舌で細かく愛撫されるのとも違う。
ピリリという刺激が肌を走る。
「やっ、なに、涼太」
球体は絶えず同じ振動を続けながら、脇腹や下腹部を通りながら全身を這う。
「……あ、っあ」
「これでもちょっとは気持ちいい?」
「な、なんか……変なかんじ……」
「じゃあ……これは?」
そう言って涼太はそれを私の乳首に当ててくる。
「っひゃん!」
自分でも聞いた事のないような声が出た。
ブルブルと震える機械が、快感を与えてくる。
「っあ、んあ」
涼太にして貰うのとは全く異なる快感。
視界には少し息が荒くなった涼太の姿。
与えられる刺激で下半身が疼いてくるのを感じていた。