• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第68章 際会


「……あの男が言ってた事、気にしてるの?」

眉間に触れていた指が、頬に触れる。
説明出来ない安心感に包まれた。

「あんなん、気にすることないっスよ。
テキトー言ってあの場を凌ごうとしただけっしょ」

そうだったらいいんだけど……

「でも……昔、私が住んでいたマンションの名前……知っていたし、そんな事、偶然では有り得ない気がして……」

「それにしたって、近所に住んでたとか?
昔、どこかで一方的に覚えられただけかもしんないし」

「うん……」

イライラする。
気が焦る。
どうして思い出せないんだろう。

あのマンション……思い出して……思い出して……うう、頭が痛い……。

「みわ、やめな」

あまりに酷い顔をしていたんだろう、涼太が見かねて顔を覗き込んできた。

「だって……」

もし、あれが本当だったら。
もし……

「だって、ナニ?」



「だって……もし、私が既に汚れてたら」

「……」

涼太に、涼太だけに捧げたと思っていたのに。

もし、それが嘘だったら……。

「涼太まで……汚してしまう……」

そんなの、耐えられない。
絶対に、イヤダ。

「みわ」

また、熱い唇が重なる。

「んん」

「オレ、汚ねえことした過去なんかいっぱいある。みわが思ってるような男じゃないっスよ」

涼太の熱い指が、バスローブの紐を解いていく。

「やっ、涼太」

やっぱりダメ。
まだハッキリしていないのに、彼に抱かれるわけにはいかない。

「過去が何? 今に関係あるの?」

抵抗する手を押しのけて、手が私の乳房に触れる。

「……っ、だめ」

「ねえ、オレが昔他の女を抱いてたら、オレの事嫌いになる?」

巧みに気持ちいいところを探ってくる愛撫に、身体が揺れてしまう。

「なっ、なら……ない……っ」

そんなの、なるわけない。

「そうでしょ。そのまんまみわに返すっスよ」


そう言ってくれるのは、嬉しい。



でも。


「っ、あ」


「みわは汚れてなんかいないし、汚れないっスよ……」




あれだけ求められるのを待っていたのに、辛い。



涼太を……涼太を汚してしまうよ。
こんなにこころも身体も綺麗なこの人を。


/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp