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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第14章 花火


「ごめんね、何もないんだけど……すぐ作るから座って待ってて貰える?」

明日からまた部活だ。
帰るのが遅くなってしまってはいけない。

料理は手が早い方だと思う。
色々教えてくれたおばあちゃんに、感謝かな。

「お待たせ。冷蔵庫にあったもので、ホントに簡単なんだけど……」

「おお、みわっち特製焼魚定食っスね!」

「そんな大したものじゃないよ」

「いただきま〜す!」

「め、メシアガレー……」

黄瀬くんの手元から口元を凝視する。
美味しいかな。ちょっと質素すぎたかな。

「どうしたんスか?」

「いや、作っておいてなんなんだけど、自分の料理食べてもらうのって、なんか凄い緊張するなって」

普段は、自分のためにしか料理しないから。

「ん、美味い! 引っ越したらうちにご飯作りに来て欲しいっスわ」

「良かった……」

ほっと一息。

「引っ越し日、決まったら教えてね」

「うん。来週までには引っ越すつもりっスけどね」

「えっ、早いね!? じゃあ今日、物件探しとかした方が良かったんじゃ……」

しまった。
もっとちゃんと気を回すべきだった……。

「今日はみわっちと過ごす予定だったから。物件なんて、今度サラッと回ればいいんスよ」

「気が利かなくてごめんね……」

「それより、みわっち」

目が合う。黄瀬くんの真面目な表情。
いつにも増して真剣だ。

「どうしたの?」

「……夏休みの課題、手伝って欲しいんスけど……」

「あ、まだ終わってないんだ」

「だってまだ8月頭っスよ? 全く手付かず。みわっちまさか……終わった、んスか?」

「後から困るのもやだなあって、集中して終わらせちゃった」

「マジっスか……すげえ……写させて……」

「写すのはいいんだけど、その内容で休み明けにテストだよ?」

スポーツ強豪校だからといって、勉学はユルいなんて事は決してない。
学生の本分はあくまで勉強、なのである。

「うっ」

「赤点は補習だよ?」

「ううっ」

「……さあ、黄瀬くん」

「みわっちセンセー、教えて欲しいっス……」

「はいよくできました。少しずつやれば大丈夫だよ!」

「……甘くないっスね……」

「頑張れ、エース!」

頼って貰えるの、嬉しいな。
ビシバシいかなきゃ!


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