• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第68章 際会


はぁ……

心臓のドキドキも涼太のおかげで少し落ち着いてきた。

こまめにくれる彼らしい気遣いの入ったメッセージも、気持ちが安らぐ。

先ほど届いたメッセージには、あと10分程で到着すると書いてあった。

最近改装されたのか、駅のトイレにしては造りがキレイだ。

まるでファッションビルにある最新のトイレのようだった。

このパウダールームにも椅子がきちんと設置されていて、ゴミ1つ落ちていない。

それなのに、汚れのない鏡に映る自分の顔は土気色をしていた。



私より少し年上くらいの女性が2人、駆け込むようにしてトイレに入ってきた。

「なにあいつー気持ちワルッ!」

「ケーサツ呼んだ方がいいんじゃないの?
キモすぎるんだけど!」

それは、きっとあの男のこと。
まさか、他の女の人にも同じように……!?

呼び寄せてしまったのは私なのに!

慌ててトイレの外へ出ると、スウェット男はトイレに行こうとしている女性に近付き、何かを話しかけているところだった。

男は逃げるようにして小走りになる女性の鞄を掴む。

女性も振り払おうとするけど、力の差があり、なかなか離して貰えない。


怖いのに。
怖いけど、手と足が勝手に動いていた。

「やめてくださいっ!!」

そう言って男の腕を掴み、女性の鞄から手を離すように引っ張る。

引っ張り合いになるかと思ったら、以外にも男は女性の鞄の紐を握った手を、あっさりと離した。

「逃げてっ」

女性はそれを聞いてトイレに駆け込んだ。
良かった。

「……おい」

女性に一瞬目を取られたスキに、男は凄い力で私の顎を掴んだ。

「オメーが出てこないから代わりの女を探してたんだろが。アァ?」

「う、ゥ」

「久々に会ったってのに、冷たいじゃねーか。
タダでやらせろとは言ってないだろ?
今一発いくらなんだって聞いてんだよ」

「……!?」

久々に……会った……!?

正面からハッキリ顔を見るのはこれで2回目だけれども、勿論この顔に見覚えなんかない。

掴まれている間に、先ほどと同じように鼻をつく異臭。

「おい、忘れたとは言わせねえぞ?
お前にいくらつぎ込んだと思ってるんだ」


「こら! その手を離しなさい!!」

駅員さんが3人、こちらに向かってくる。
男はあっという間に縛り上げられた。


なに……なんなの……?



/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp