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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第68章 際会


さつきちゃんとは、ウィンターカップ前までにはまたお茶でもしようと約束して別れた。

まだここから2時間近くかかる。
スマートフォンで調べ物しながら行けばすぐかな…。

どうやら通勤の流れとは逆方向のようで、それほど混んでいなかったので座る事が出来た。

ホッと一息つくと、すぐに窓の外の景色が流れ出す。

各駅停車だから少し時間がかかるかな…どこかで急行の待ち合わせでもするかな、と思っていたけれど、この電車が終点まで先の到着になるとアナウンスがあった。

それなら仕方ない、このまま乗って行こう。

次の駅に停車すると、数人乗客が乗り込んできた。

大体皆、人とは間を空けて座っているのに、上下黒のスウェットを着たおじさんが、ピタリと密着するように隣に座ってきた。

こんなに他の座席が空いてるのに。
その体温とお酒臭さに背筋がゾッとした。

あまり露骨にならないようにさりげなく立って、隣の車両に移る。

心臓がバクバクいっている。

大丈夫。
別に、何をされたわけでもない。
ただの酔っ払いだ。

隣の車両も混雑はしておらず、空いている席に腰掛けた。

呑気なメロディと共にドアが閉まる。

ふぅ……。

スマートフォンを鞄から出して、早速検索をかけよう。

必要な資格、資格を取るためには、最適な学校、奨学金制度……ああ、何から調べよう。

少し考え込んでいると、まだ電車は発車したばかりで駅には停車していないのに、隣に人が座った。

え?

スマートフォンへの目線の先に見える、黒のスウェット。

……さっきの人だ……追いかけてきた?

やだ。
怖い。

目を絶対に合わせないようにして、席を立った。

座るからいけないんだ。

またそっと隣の車両に移動して、隠れるように座席のすぐ隣のスペースに立っていた。

なんで? 怖い。

酔っ払いに目をつけられた?
でもあんなに酔っていたら、そのうち寝てしまうはず。

座ってなければ大丈夫。
でも、心臓の音は大きくなるばかりだ。

怖い。

でも、大丈夫。落ち着いて。
……ほら、来ない。







すると、私の期待を裏切って、静かな車内に、車両を繋ぐドアが開く音が響いた。



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