第68章 際会
翌週、笠松センパイ達のストバスチームと『Jabberwock』の親善試合がテレビ放映された。
センパイ達のチーム『strky』は、高校で常に全国トップ争いをしていた5校の選手が集まって作られたチーム。
(だからチーム名も、秀徳・桐皇・洛山・海常・陽泉の順で各校の頭文字を取ったものになっている)
この特別試合の予選を兼ねたストバスの大会で優勝したチームだ。
大会には、ストバスの有名選手やプロの選手なども出場したそうだが、彼らを凌いでの今回の出場。
流石っスね、センパイ。
オレ達もその日は練習を休みにし、チームの皆でテレビの前に集合していた。
きっと、どの学校も似たようなものだと思う。
最近は日本国内でバスケットボール人気が上がっており、話題になったこの試合は……
選手達を侮辱する、酷く一方的なものだった。
試合後、誠凛のカントクのお父さんがきっかけで、リベンジマッチが開催される事となる。
そして……オレ達"キセキの世代"に白羽の矢が立った。
オレ達は、童話"鏡の国のアリス"内の怪物ジャバウォックを倒した剣、ヴォーパルソードの名を取って、『VORPALSWORDS』としてチームを再結成したのである。
そして、1週間後のリベンジマッチ……
……まあ、当日の辺りの事は話すと長くなるので
ある程度は割愛するとして……
オレは、この試合をきっかけに、海の外というものを強く意識するようになる。
そして、それは青峰っちも同じようだった。
結局、急遽組まれたこの試合の影響で、秀徳と合同で行われた合宿には、オレも緑間っちも高尾クンも欠席する事となってしまった。
来週はみわが桃っちと一緒に、木吉サンと約束したリハビリセンター見学に行くらしい。
夏が始まったと思ったら、駆け足で去って行ってしまった感覚。
しかし、オレはこの1ヶ月で今後のバスケ人生に関して、かけがえのないものを手に入れたという実感がある。
未来は、無限大だ。