第68章 際会
「じゃあ黄瀬クン、メッセージ送っとくからよろしくね!」
「あ、ハイ」
早速スマートフォンが振動する。
メッセージアプリというものは手軽な分、繋がりたくない人とのやり取りはこの上なく面倒だ。
"チカゲでーす!
あたし、笠松クン狙いだから
協力よろしく〜(^o^)/"
な、
なんだって。
まさかの、笠松センパイ狙い。
チラリと向かい側で顔を赤くしているセンパイを見やる。
いやー……さすがに女子ニガテなセンパイは難攻不落すぎやしませんかね……。
"黄瀬です。
ヨロシクお願いします"
我ながら、興味のないヒトにはこの冷たさ。
"オッケー! 涼太クンって呼ぶね!
次いつ会える?"
"夏休みは練習や合宿があるんで、
ちょっと難しいっスね。スンマセン。"
"いいよ、気にしないで!
また声掛けるね(^-^)"
チカゲサンはご機嫌で去って行った。
「なんかすげぇ強烈なヒトがマネージャーなんスね……」
「ああ、通常ウチはマネージャーは男限定みたいなんだけど、彼女は高校時代女バスで結構な成績を残してたから特別扱いらしい」
「へー……選手だったんスか、珍しいっスね。
なんで男限定なんスか? マネージャー」
「ああ……なんか何年か前に合宿で……集団暴行とか……そういうことになったらしくてよ」
視界の中にいるみわの肩がビクンと揺れた。
「……そーなんスか。ま、色々あるっスよね」
自分から振ったけど、話を変えたくて席についた。
「そうそう、オマエら来週テレビ見てくれよ」
センパイが机の上に出したのは1枚のチラシ。
「Jabberwockとやんだよ、俺ら」
センパイが口にしたのは、今世界で人気のストバスチームの名だった。