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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第68章 際会


「よお、待たせたな」

髪を汗で濡らした笠松センパイと小堀センパイが観覧席まで上がって来てくれた。

「もう今日はこれで終わりなんスか?」

「ああ、この後体育館は違うヤツらが使うらしいからな」

バスケットボール専用体育館があればいいのに、とセンパイ達は笑った。

ああ、もうセンパイ達にとって海常は過去なんだな……と当たり前の事を少し寂しく思った。




「ここの学食美味いんだよ。食ってけよ。夏休みだからメニューは絞られてるけど」

「いいんスか? ここの生徒じゃないのに」

「学食は一般開放してるから、普段もサラリーマンとか結構来てるぜ、安いし美味いし量も多いしで」

「へえ」

体育館を出て、学食とやらに向かう。

グラウンドがあったり、競技場があったりとその規模はハンパない。

すれ違う人も、様々だ。

1人で歩く人、サークルなのか男女でワイワイと歩く人々、タンクトップで走る人。

学年で未成年と成年が分かれるんだから、なんか不思議だよなぁとなんとなく思った。



学食では、笠松センパイオススメの定食を頼んだ。

和食メインだけど量もしっかりあって、スポーツマンにはうってつけだ。そして味も美味い。

「で、どうだった、ウチの練習」

「んー、正直、やっぱ高校よりもレベル高いなって思ったっスね」

「私も思いました。同じ基礎練習でも、選手それぞれの仕上がりが違います。
当たり前の事を当たり前にできる、これって物凄い難しい事なのに、そこにスキがないというか……」

「おまけに、ウチは海常とスタイルが似てるんだよな」

「あ、それ思ったっス」

今日1日の練習を見ただけだが、チーム内の空気が笠松センパイが率いていた頃の海常の雰囲気にそっくりだ。

居心地がいい。でも、甘えは許さない。オレの好きな雰囲気だった。

「いい刺激になったろ、黄瀬」

「そうっスね、ありがとうございます」



また、笠松センパイのチームでバスケがしたい。

素直に、そういう気持ちがこころの中に生まれて来ている事に気付いていた。


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