第68章 際会
翌々日、オレたちは笠松センパイの大学の正門前で2人、佇んでいた。
門から見える校内は緑に溢れていて、並木道を歩く学生達もどこか穏やかな顔だ。
相変わらずうだるような暑さは続いているが、一面の緑はそんなイライラも和らいでくれるような力があった。
……セミがちょっと、ウルサいけど。
大学自体に来るのは初めてではない……中学の時、近所にある大学の学祭に行ったくらいか。
昨日ネットで調べたら、この学校はインカレ(インターカレッジ…全日本学生バスケットボール選手権大会のこと)でも近年ずっと上位をキープしているところだ。
相当レベルが高いんだろう。
「私、大学って初めて。なんか、緊張する」
「オレもこうやって来るのは初めてっスね」
みわはシンプルなTシャツにパンツルックだ。
……みわって、身体は凄く細いのにお尻はちゃんと膨らみがあって、パンツを履くとラインがめちゃめちゃエロいんスよね。
…………正直言うとこういう男が多いところでそういうカッコをして欲しくないのだが、本人はスカートを履きたくないと言っているので仕方ない。
今度、身体のラインが出ないパンツを買ってあげようかな。
「黄瀬、神崎、お待たせ」
想像しているよりもずっと柔らかい口調に驚いて振り向くと、そこには小堀センパイが立っていた。
「あ、コンチハ小堀センパイ」
「IH終わって、調子悪いとことかないか?」
「ハイ、怪我もないしバッチリっス」
「今俺は休憩時間なんだ。このまま体育館に向かうけどいいかな」
「ウス」
正門を抜けていくと、様々な建物を抜けて、一際大きな体育館が目についた。
「あそこだよ、総合体育館」
「でか……」
海常もバスケットボール専用体育館があるくらいだから、他の高校よりもずっと設備が整っているとは思うが、大学はその比じゃない。
逸る気持ちを抑えながら、中へ入った。